子ども関連の地区連絡協議会
こんにちは、塾なし研究所・所長の塚松です。今年の7月、調布市のホールで公立小学校での地域学校協働活動やコミュニティスクールについて講演しました。私は現在、公立小学校でコミュニティスクールの委員をしています。
市内の校長先生をはじめとする学校管理職や子ども支援センター、児童相談所、地域の民生委員の方々など約150名を前に発表するということで、久しぶりに大勢の皆さんを前に緊張しました。
今回のテーマは「今、私たちにできること~子どもを育む地域のネットワーク~」です。学校に導入されたコミュニティスクール制度について地域で子どもに関わる方々に話してほしいという依頼内容でした。そこで学校長と一緒に登壇し、子ども自身や子どもを取り巻く環境の変化に伴い、現在、学校の教育活動がどのように変わってきているのかについてお話させていただきました。
昔と比べると今の公立学校は、より外部や地域の力を借りながら教育活動を行っています。私たち親世代が子どもだった頃は、学校にいる大人は先生と用務や事務の職員のみでした。授業のプロである先生が集まると専門性が高い一方で、子どもが学校で学ぶ意味を広く考えると、大人が先生しかいない学校というのは、閉鎖的で多様性に乏しいともいえます。
親世代が生まれ育った昭和の時代から時が流れ、学校現場に必要とされる専門的な大人の重要性も高まりました。学校には、特別支援教育やスクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)といった専門性をもった職員が配置されるようになりました。さらに地域や外部の力を借りた学校での協働活動も広がりをみせています。
先日、ある小学生の保護者が「自分たちが子どもだった頃と違い、学校で色々な体験をさせてもらっていると感じる」と言っていました。実はその通りで、コミュニティスクールや地域学校協働活動と呼ばれる制度やシステムが機能している公立学校は、年間を通して様々な体験学習が実施され、学習支援や不登校など学校が抱える課題にも独自に対応しているところもあります。
「子どもを地域や社会全体で育てよう」というと大きな話ですが、実際に今の学校では、教員を目指したり社会活動に関心のある学生たちが補助に入る授業が日常となり、ゲストティーチャーの出前授業も多くある。ほかにも地域の人が見守る放課後教室や不登校支援の教室など、いまの子どもたちは学校で多様な大人たちと関わりをもちながら過ごしています。
学校だけで、先生の力だけでは大変なことや難しい課題を、地域の人や外部の力を借りつつ協力して対応したり、解決しようとする動きはますます必要になるでしょう。「学校には多様な大人がいる」。核家族化が進んだ社会で子どもが成長する過程において、このことはとても重要なことだと考えています。もちろん安全面は考慮されなければなりませんが、学校が閉ざされたイメージを脱し、地域に開かれた子どもを思う多様な大人が集まる場所に変化しつつあるのです。
ただしこのような取り組みは、地域差・学校差があることが大きな課題のひとつです。義務教育にムラがあってはなりません。コミュニティスクールに関わりながら、多くの学校で協働活動が広がりをみせ、持続可能になっていくためには何が必要なのか、どうすればよいのかなどと時折考えますが、なかなかよい答えは見つかりません。だからこそ、地道に自分の置かれた場所で、できることを探して行動し続けるしかないのかもしれません。
今回の連絡協議会のように子どもに関わる団体同士が互いの活動を知り、横のつながりをもつことも、活動を持続可能にしていくためには大切なことなのではないかと感じています。一人より二人、仲間、そして「共生する」ことが子どもを含めた社会や未来にとって必要なのですから。
#コミュニティスクール#地域協働活動#講演会
所長・塚松美穂