公教育にかかわって思うこと

親子のやりとり 高校受験

こんにちは、塾なし研究所所長の塚松です。公立学校の学習支援を続けるうちに、公教育への関わりが増えてきました。首都圏では中学受験が過熱しているとはいえ、どの都道府県でも地元の公立中学校への進学が過半数です。

今年度、私は居住する市の教育委員会の教育プラン策定検討委員に就任しています。4年ごとに市の教育プラン施策の見直しがあり、今年はその改定年にあたります。もうひとつ、7月末に終わりましたが、来年度からスタートするコミュニティースクール導入の検討委員でもありました。

ある委員会議で「子どもたちがどう育ってほしいか」について熟議したことがあります。各委員が思いついたことを付箋に書き、模造紙にペタペタはって、それを見ながら話し合う。参加していたのは、教育委員会の先生、小・中学校の校長先生、PTA代表の保護者、地域の教育関係者です。

話し合ってみると、子どもにはどんな力が必要だと思うか、他人や社会に対してどうかかわってほしいかなど、メンバーそれぞれの立場は違っても、みな、ほぼ同じイメージや考えをもっていました。また、別の委員会のグループワークでは、教科としての「道徳」や「部活動」について意見交換をしました。

子どもが公教育で学ぶ意味はふたつあると考えています。ひとつは自立して生きていくため。最低限の学力をつけ、自ら学びたいと思える体験を何回できるかが大切です。もう一つは共生するため。学校は、互いに認め合える関係を作る場所です。互いに認め合うことは共生社会において必要不可欠です。このふたつの大切な要素を公教育は担っています。

中学生

東京などの都市部では中学受験が過熱して小学校の低学年から塾通いが始まり、「中受に乗り遅れたらアウト」のような空気を漂わせている業界関係者や保護者もいます。本当にそうでしょうか。中受に向いている子や「どうしても私立に」といった教育方針の親はいますが、みながそうではありませんし、東京で私立中学校に通う子どもは25%です(文科省・学校基本調査)。周りをみて焦る必要は全くないと思います。

どのような進路を選ぶのかは、自分(たち)目線で考え自分(たち)軸で選び取ることが大切です。子どもの時間や労力を小さいころから受験勉強に多く注ぐのか、周りに流されて決めることではありません。親である私たちが見つめなければならないのは、周りの様子ではなく子ども自身です。過熱する商業的な受験システムに惑わされず、子育てのゴールを考えてみましょう。

子どもと向き合い、その齢において必要な経験・体験をさせる会話を増やし、楽しい家族の時間をもつ

もちろん、志望校を目指して受験勉強するのも一選択ですが、家庭で子どもと向き合う時間をつくって、親子のコミュニケーションを深めることが、子育てには一番大切ではないかと思います。その時間が巡り巡って、中学校での勉強や受験に必要となる思考・習慣につながっていくのです。

選択肢に中学受験がない地域もありますし、不登校で学校に通えない子だっています。地元の公立中学に通い、高校受験して育っていけばいいし、学校に行けなくても選択肢を探せる時代です。子どもにとってみれば、中学受験は当たり前のことではなく、不可欠でもない。大人になっていく道は他にもたくさんあって、子どもにとってのゴールはそんな手前にはないということです。

それでも、多くの子どもが通う地元の小中学校でよりよい教育ができること、地域の学校が信頼できる義務教育機関になるほうが絶対にいいと考えています。だから、私は教師ではありませんが、地域の教育活動を支援しています。

なぜでしょう。それは、社会や未来をよりよくするのはやっぱり教育だと考えているからです。子どもたちを応援することが幸せな社会をつくるのだと信じているからなのです。こうして公教育活動にかかわれることに感謝しています。

所長・塚松美穂

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